●唐獅子牡丹図 （無銘）
江戸後期    桐箱付（落し込み）      ※商品番号：TB-144-Y
隅入木瓜形    赤銅地    高彫    角耳    片櫃孔縦：7.50cm    横：7.20cm    切羽台厚さ：約0.60cm    耳際厚さ：約0.44cm    紋部厚さ（最大）：約0.90cm    重さ：106.95g

   （懲りずに再掲載）   なんとも威勢のいい本鐔。表裏両面はこれでもかと盛り上がった図柄・・・どうだと言わんばかりに空威張りを見せつけます。とはいえ、色絵は無し。まあ、これで金やら銀やらを施したら、装着するのが憚られるほどの見映えだけの鐔になってしまいそうです。絵柄は牡丹に埋め尽くされて判別しにくいかもしれませんが、表面右下に愛嬌たっぷり（ブサイクかも）の唐獅子が躰ほどもある大きな尻尾を携えて頓挫しています。それにしてもモッコリを通り越して寺社の木彫装飾のような肉厚の重ね、そして画角一杯に展開した密な牡丹模様に圧倒されます。   しかし、待てよ、本鐔を手にしたこの重量感・・・軽すぎやしないか？ いや、確かに軽い。赤銅でこの造なら200g軽くはありそうだけど、本鐔は100gちょっと。軽く叩いてみると、空洞のような響きがします。こりゃ～三枚合わせの鐔か？と疑いつつ中心櫃孔の側面を確認すれば、何と二枚合わせの筋が出ています。ほう、珍しい！三枚合わせなら普通にみられる所作ですが、二枚合わせで赤銅地とは・・・私は初めて経眼する造込かも。（ある程度の型から採った）裏打出の地金に彫を加えたつくりですが、この彫、丁寧に絵柄全体に施され、型で採っただけの山銅の三枚合鐔とは一線を画しているようです（やるなぁ～）。無垢の赤銅鐔に比べてコストを抑えた造とはいえ、中々の力作に思えてきました。ちょっと小馬鹿に見ていた自分が恥ずかしいです。因みに耳ですが、覆輪を施した造なのか二枚合わせの側面を解らなよう上手に仕上げているのか判別できていません。   色合いですが、赤銅にしてはちょっとテカリ過ぎの感があります。漆等を使った色揚げも考えられますが、何とも難しい風合いです。制作時代は江戸後期、この手の複雑な彫口と造込が出来るとしたらおそらく幕末。江戸前期ごろならば、ここまで作り込むことはしないと思います。それに擦れや経年劣化もあまり認められません。作域、流派はお手上げです。無垢の赤銅鐔ならば、町彫の流派に行けそうですが、なにせコストダウンを念頭に置いた二枚合わせ鐔ですから・・・


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